インタビュー!喜田村洋一さん[1]弁護士になったきっかけとアメリカ留学

 

六法ちゃん
六法ちゃん
こんにちは!六法ちゃん、初めてのインタビューに行ってきました!

お話を聞かせてくださるのは、弁護士の喜田村洋一先生です。

六法ちゃん
六法ちゃん
喜田村洋一先生は、民事・刑事を問わず、訴訟の現場で幅広く活躍されている弁護士です。
 

六法ちゃん
六法ちゃん
たとえば現在は、日産の前代表取締役グレッグ・ケリー氏の弁護人をつとめられている他、過去には、
・政治資金規正法違反の罪で強制起訴されたものの無罪判決を得た自由党の小沢一郎代表
・ロス疑惑の故三浦和義氏
をはじめとする、数多くの著名事件の弁護人・代理人を務められています。
六法ちゃん
六法ちゃん
法律を勉強している人なら教科書や判例集で必ず学ぶ憲法訴訟「レペタ訴訟」や「在外日本人選挙権訴訟」も、喜田村先生が担当された事件です。
六法ちゃん
六法ちゃん
初回では、弁護士になったきっかけから、最高裁での弁論のご経験、裁判で勝訴するコツなど、大変貴重なお話をお聞きしました。

 

六法ちゃん
六法ちゃん
はじめまして、こんにちは。
六法ちゃんと申します。

今回は、お話をお聞きできて大変光栄です。
お忙しい中お時間をくださいまして、ありがとうございます。

六法ちゃんからは、勝手ながら親しみを込めて喜田村先生と呼ばせていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします!

どうぞよろしくお願いいたします。
喜田村先生
喜田村先生
六法ちゃん
六法ちゃん
すでに弁護士経験40年を超える喜田村先生ですが、
いつ頃、どのようなきっかけで弁護士を目指されたのですか?
大学生の頃です。

法学部で学んだ影響もあって、弁護士になろうと思いました。

もともと大きな組織に馴染まない性格なのもあって・・・。

弁護士が、自由に独立して働けるところに魅力を感じたのも大きかったです。

喜田村先生
喜田村先生
六法ちゃん
六法ちゃん
喜田村先生といえば、法律を学んだ人なら、憲法の教科書に必ず出てくる「レペタ事件」や「在外日本人選挙権事件」などの印象が強くて、憲法のイメージが特に強いのですが、喜田村先生が憲法に興味を持たれたのはいつ頃ですか?

憲法のイメージが強いかもしれませんが、憲法の裁判は、私が担当している事件のうちのほんの一部ですよ(笑)。

憲法に興味を持ったのは、法学部時代に小林直樹先生の憲法ゼミに所属したのが大きなきっかけです。
特に憲法の奥深さに惹かれました。
政治学に近い側面に惹かれたというのもあると思います。

喜田村先生
喜田村先生
六法ちゃん
六法ちゃん
ほぉ〜
弁護士になってからも、憲法関連の事件を担当する機会はなかなかありませんので、憲法の芦部信喜先生が主宰されていた憲法訴訟研究会に入れていただき、実務に就いてからも憲法を学んでいました。
喜田村先生
喜田村先生

六法ちゃん
六法ちゃん
裁判で憲法について争うことは、通常滅多にないことですよね。
そのため、喜田村先生は学者や弁護士で構成される勉強会で、憲法を学ばれていたということですね。

そのほか、喜田村先生は弁護士になられた後、アメリカに留学されたんですよね?

アメリカではどんなことを感じましたか?

はい。1980年から1年間アメリカミシガン大学のロースクールで学び、翌年はニューヨークの法律事務所でトレーニング生として実務の一端を担当し、翌1982年春、ニューヨーク州の司法試験を受けて、これに合格しました。

喜田村先生
喜田村先生

私が思うに、アメリカの弁護士の大きな特徴は、弁護士同士の共通言語として、憲法が常に存在しているということです。

どんな分野を専門としていても、大抵の弁護士は、連邦最高裁判所の直近の憲法判決などについて頻繁に話題にします。

喜田村先生
喜田村先生
六法ちゃん
六法ちゃん
え、そうなのですか!
連邦最高裁判所の判断に影響の出そうな大きな事件は、下級審の段階から、事案の概要、当事者の主張、下級審の判決を知っていますし、そのうえで最高裁判所に上告を申立てられた後も、上告が受理されるか、当事者や関係者はどのような準備書面を出したか、その後の口頭弁論はいつなのかという細かい日程まで把握しています。
喜田村先生
喜田村先生
六法ちゃん
六法ちゃん
連邦最高裁の動きは、弁護士にとって常に目が離せない重要ニュースなのですね!
また、アメリカでは大手新聞、たとえばニューヨークタイムズなどの一面には、連日のように表現の自由についての記事が掲載されます。
どんな事件が下級審で争われていて、裁判はどのように進行しているのかなど、細かなことも具体的に報じられています。
喜田村先生
喜田村先生
六法ちゃん
六法ちゃん
アメリカは弁護士だけでなく国民全体の憲法への関心が、日本よりも高そうですね。
そうですね。
喜田村先生
喜田村先生
日本では憲法の条文について、何条に何が書いてあるというようなことは法学部などで勉強した人でないと認識していないと思うのですが、アメリカの国民は、権利章典(憲法修正の最初の10条)の最初に掲げられた修正1条が表現の自由を保障していることなど、大抵の人なら知っているし、ある程度憲法についての議論ができるような気がしました。
喜田村先生
喜田村先生
六法ちゃん
六法ちゃん
法律家でない一般の人も、憲法について学校でしっかりと学んでいるのかもしれませんね。
日本人は、国が先にあって、憲法は後から作られたと受け止めているかもしれません。

しかし、アメリカは日本と違って、憲法ができて国が出来上がったととらえているように思います。

アメリカは憲法によって創設された国、だといっても過言ではないかもしれません。

喜田村先生
喜田村先生

 

合衆国憲法の前文が「We the people… 」(われわれ人民は…)で始まっているように、米国民は、アメリカ合衆国は自分たちが憲法で創設した国だという自覚があるのだと思います。

私も、ニューヨーク州の弁護士資格を取得した際、宣誓式で「連邦憲法とニューヨーク州憲法を守ります」という誓いをしました。

喜田村先生
喜田村先生
イギリス由来のRule of Law、法の支配が徹底していることを身近に感じましたね。
喜田村先生
喜田村先生

六法ちゃん
六法ちゃん
アメリカ国民は、自分たちで自由や人権を勝ち取ったことに自負があるのですね。

アメリカのロースクール生活はいかがでしたか?

日本でも平成11年の司法制度改革で、他の学部卒の学生が法律家を目指すことも増えましたが、そもそもアメリカには日本と違って、学部(undergraduate)には法学部がないので、ロースクール生全員が他学部出身で、法律を学んだことがない状態で勉強をスタートさせます。
喜田村先生
喜田村先生

そうか、法学部がないのか!
六法ちゃん
六法ちゃん
大学では音楽を専攻していた人が、法律をいきなり学ぶことも珍しくありません。

当然、何も知らない状況で入学するのですから、みなさんものすごい勉強量でした。

喜田村先生
喜田村先生

最初の一年間で基本的な法律を全部勉強させるのですが、講義も初めからソクラテスメソッドで、初めて法律を学ぶ学生にはかなり厳しい環境だと思いました。
喜田村先生
喜田村先生
六法ちゃん
六法ちゃん
ソクラテスメソッド・・・。
ハーバード大学のサンデル先生の講義で見たような、先生と学生が対話をしながら講義を進めていく、あのスタイル!
六法ちゃん
六法ちゃん
六法ちゃん、当てられたら緊張して倒れてしまいそうだ・・・

法律をやったことがないのに最初から対話式の講義スタイルなんて、どうすればいいのかわからないだろうな・・・。

六法ちゃん
六法ちゃん
六法ちゃん
六法ちゃん
喜田村先生、憲法の他にロースクールで面白かった科目はありましたか?
憲法とは全く違う理由で、証券取引法などはとても興味深かったですよ。
喜田村先生
喜田村先生

え、喜田村先生が証券取引法とか、意外!
六法ちゃん
六法ちゃん
たとえば大恐慌の時にできた証券法(1933年)や証券取引法(1934年)で、「どういう条件で不当な市場操作になるのか」など、細かく規則で定められていることもあるのですが、それが構造的に非常に緻密できていて、技術的に興味深かったです。
喜田村先生
喜田村先生

細かい文言の解釈を最高裁が覆したり、更に解釈で狭められたり。

ダイナミックな展開を追うのがとても面白かったです。

喜田村先生
喜田村先生
なるほど。そういう面白さもあるのか!
六法ちゃん
六法ちゃん
表現の自由の勉強のときも思いましたが、証券取引法の勉強も、「アメリカだなあ」という感じが強くしました。

一方は原理原則の話であり、もう一方は技術的な規制の話ですが、どちらもアメリカが極めて進んでいる分野ですので、アメリカ法を学んでいることを実感しました。

喜田村先生
喜田村先生

六法ちゃん
六法ちゃん
ほぉ~。

アメリカは資本主義経済の主役で、自由な市場取引を保障するために、証券取引法の研究が進んでいるのでしょうね。

六法ちゃん
六法ちゃん
憲法も、国民が個人の自由を追求することを妨げてはならない、という考えに基づいているのですから、そのような意味では証券取引法の趣旨も憲法と相通じているように見受けられますね。
せっかくだし、次は、裁判に勝つ方法をストレートに聞いてみよう。
六法ちゃん
六法ちゃん

インタビューは次回に続きます!

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