あるところに、こんな物語がありました。
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A子とB男は夫婦でした。
ところが、B男がA子に暴力を振るっていたため、
A子は家を出て、B男とは長期間別居を続けていました。
B男が離婚に同意しないため、
B男とA子は数年間別々に暮らしていましたが、
法律上は夫婦のままでした。
(実質的に夫婦関係は破綻していたと見ることができます。)
更に数年経過したある日、
傷ついたA子を支えてくれるC太郎が現れ、
A子はそのC太郎と暮らすことになりました。
その後、A子はC太郎との間に、子を妊娠しました。
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さて、ここでA子としては、
C太郎との子どもが生まれる以上、今こそ
B男と離婚して、C太郎と再婚したいと考えるはずです。
ところが、現在の民法において、女性は離婚後再婚するまで
6ヶ月待たなければいけません(民法733条・画像参照)。
A子の場合、B男と離婚できたとしても、
半年間はC太郎と再婚することができないことになります。
この6ヶ月という期間は、
通常ならば単に待てば済むかもしれませんが、
A子は妊娠しているため、
6ヶ月が経過すると、出産の時期が近づいてくることになります。
ここで出てくる問題が、
民法772条(父性の推定を示す規定)です。
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第772条
1項 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2項 婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。
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この規定により、
A子にはC太郎との間に子ができたのに、
この子の父親はB男ということになってしまうのです。
民法733条の「6ヶ月」という再婚禁止期間は、
父親が誰かということについて、
無用な争いが生じることを避けるために
設けられました。
しかし、この規定のせいで、
A子の場合、
せっかくできたC太郎との子が
よりによって暴力を振るっていた前夫B男との子であると
推定されてしまうという不合理な結果を生んでしまうのです。
こうなることを知ったA子のような多くの女性は、
生まれる子がB男の子になるのを防ぐため、
子の戸籍を登録しないという状況が多々見られ、
無戸籍の子が存在し、問題となっていました。
今回最高裁判決で733条が違憲となったため、
国会によって条文から削除された場合、
6ヶ月という女性の再婚禁止期間が撤廃されることにより、
A子のような問題を未然に防ぐことが可能になります。
以上、『実録!A子の再婚禁止期間』でした!
ちなみに六法ちゃんには、毎年改正された
子どもの六法ちゃんが生まれてきてるんですっぽ。
ご先祖様はローマ法大全っぽ。
ローマ帝国滅亡後は、
イスラム文明によって育てれられたんだぽ。