ビジネスの世界に身を置いているみなさん!
「ビジネスと人権」という言葉を、聞いたことはありますか?
少し難しいけど、みんなに関係する問題でもあるよ。
たとえば、こんなことっぽう。
1990年代、スポーツ用品メーカーであるナイキは、欧米において100ドル以上で売られている人気スニーカーエアジョーダンを、途上国で労働者1日一人あたり2ド ルの低賃金で作らせ、また児童にまで働かせていたことが報じられました。
この事実は全世界で批判にさらされ、世界各地でナイキ製品の不買運動等が巻き起こりました。
このように、ここ数年間、企業が途上国の住民や労働者等の人権を軽視した行為をした際、その事実がSNSなどで情報拡散され、簡単に世界中に知れ渡るようになりました。
そして、企業のグローバル化や、国際的NGOの存在感の高まり、人権意識の全世界的な高まりもみられる現在、人権問題に関心の薄かった多くの日本企業においても、もはや人権問題は企業経営において、無視できるものではなくなっています。
さらに、コンゴなどの紛争地域で採取された鉱物を企業が利用した場合に、開示等を義務付ける米国のドットフランク法や、英国で一定額以上の売上がある企業に、当該企業だけでなくそのサプライチェーンが労働者などを奴隷的に取り扱っていないか調査した上で開示することを義務付ける英国現代奴隷法なども制定され、これらの法律は、日本企業にも適用される可能性があります。
さらに、企業は自社のみならず、その利用する物流システムをはじめとするサプライチェーンの行動についても責任が問われるようになってきています。企業はサプライチェーンに対する影響力を行使して、サプライチェーンが人権侵害をしないように管理する責任を負うと考えられているんです。
このように、企業の人権問題は、自社だけでなく取引先にすぎないサプライチェーン全体の問題であり、また、単なる倫理的問題ではなく、法的な罰則を伴う問題となりつつあるのです。
人権問題に対する対応策として、企業は自社およびサプライチェーンについて、自分たちの経営に人権問題がないかを調査して人権問題が潜んでいないか確認し(人権デュー・ディリジェンス)、人権に配慮した経営を行うことで、結果的に持続可能性のある経営に繋げていく必要があります。
※人権デュー・ディリジェンスについては、国連のビジネスと人権に関する指導原則等が参考になるっぽう。