出生前診断における医師の過失と損害賠償責任 第1回 出生前診断って何?

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出生前診断における医師の過失と損害賠償責任
第1回 出生前診断って何?

現在、首都圏を中心に全国的に風疹が流行しています。
風疹で特に危険だと言われているのは、主に妊婦さんです。

妊娠初期の妊婦さんが風疹に感染すると、赤ちゃんが先天性風疹症候群となってしまうリスクがあります。
先天性風疹症候群の赤ちゃんは、生まれながらにして難聴、心疾患、白内障、精神運動発達遅延などの障害があります。
このような障害を予防するため、女性は妊娠する前の段階で抗体価を測定したり、ワクチンを接種したりすることの必要性がニュースなどでも報じられています。

また、風疹は人から人へ感染する病気なので、妊婦さんや女性でなくとも予防接種をすることは大切です。
現在30~50才台の男性は統計的に特に抗体陽性率が低いと言われているため、風疹の感染拡大予防のためにワクチンを接種するよう呼びかけられています。
最近は公費により抗体検査や接種費用の助成をしている自治体もあります。

女性が妊娠前に予防接種を受けることで、赤ちゃんの病気を予防することもできるのですね。

とはいえ、妊娠初期の妊婦さんが風疹に感染した場合、必ずしも先天性風疹症候群の赤ちゃんが生まれるわけではありません。

しかし、妊娠初期に妊婦さんの風疹抗体価を測定することで、風疹罹患の有無を知り、先天性風疹症候群児の発生のリスクを知ることができます。

このような、赤ちゃんが生まれる前に赤ちゃんの病気や障害の有無などを診断することを「出生前診断」と言います。
先天性風疹症候群のほか、ダウン症などの染色体異常、遺伝性疾患の一部などについて、出生前診断があることはよく知られています。

さて、今回六法ちゃんが考えるのは、このような問題です。
たとえば、出生前診断の過程で医師の過失があり、その後障害を有する子が生まれたとします。
この場合、その親又はその子自身による、医師や医療機関に対する損害賠償請求は認められるのでしょうか?
また、認められるとして、どのようなものが損害として認められるのでしょうか?

次回以降、じっくり考えてみたいと思います!

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