ほんとにそういう問題かな？

記事では「表現の自由」の問題だと言われているけど、まずは「表現の自由」ってどういうものなのかから考えてみよう。

そう。憲法２１条１項にはこう書かれているよ。

そうだね。

でも、まずは、表現の自由は憲法で保障しますと書いてあることが重要なんだよ。

憲法で保障するということは、国会が作る法律や、内閣総理大臣でも表現の自由を簡単には制限できないということだからね。

絶対に制限できないわけではないけど、表現の自由は非常に大切な権利だと考えられているんだ。

憲法が表現の自由を保障したのは、ひとびとが国会や政府のような権力を批判する自由を認める事で、そうした権力が暴走する歯止めとするためなんだ。

歴史を振り返ってみたらわかるよ。

六法ちゃんも、戦争中、本当は戦争が嫌だと思いながらも、家族で「バンザイ」して、涙を流しながら家族を戦争に送っていたって話、聞いたことないかな？

そう。

そうして国によって徹底的に戦争に反対する意見が封じ込められてしまったことで、日本は悲惨な戦争に邁進していくことを止めることができなかったんだ。

そうかもしれないね。

少なくとも今の憲法２１条１項の下では、国の考え方と違うからといって、その考え方を言えなくしたり、ましてやそうした表現をしたひとを捕まえて刑罰を与えたりすることはできないだろうね。

そう。

そうして戦争に賛成の意見だけでなく、戦争に反対の意見も言うことができたら、やっぱり戦争はおかしいから止めようよということになったかもしれないよね。

そうだよ。

だから、表現の自由が保障されない世界は、権力を使う側にはとても都合がいいんだよ。

自分たちがやりたいようにやっても誰からも批判されないんだから。

そのとおり。

表現の自由がきちんと保障されていなかったことで権力の暴走を止められなかった例は歴史的に見ればたくさんあるんだよ。

本当にそう思う？

今は、新聞やテレビみたいにお金をかけなくても自分の意見を世の中に広く発信できるんじゃない？

そうだよね。

もし国がなにか自分たちに不都合な意見を封じ込めようとしたら、今はまず、ＳＮＳでの表現を規制するんじゃないかな。

例えば、六法ちゃんが何か気になるニュースがあったとするよ。

それについてどのような意見が飛び交っているのかを知りたいとき、TwitterなどのSNSを使ってみんなの意見をチェックしてみた経験はない？

そのときに、国・政府が望ましいと考える意見しか投稿が許されていなかったとしたら、どうだろう？

例えば、政府とは違った意見の場合、投稿が削除されていくとか。

そうだよね。

何が正しい表現か、何が間違っている表現かを先に決めつけてしまうことはよくないよね。

何が正しいか何が間違っているかを判断するために、まずはいろいろな意見や考え方に触れられることがとても大切なんだ。

そのとおり。

だからこそ、何か表現が自由にできなくなっている場面では、本当にその表現を制限することが許されてよいのかを慎重に考えないといけないんだよ。

憲法が表現の自由を保障した意味を忘れないようにしながらね。