国内外の深刻な状況が報道されているね。

それは大変だね。

でも、コロナウィルスの感染について病気を蔓延させないことも大切だけど、憲法上の問題が含まれているって知っているかな？

六法ちゃんは日本に停泊している大型クルーズ船で感染が広がっているニュースは知っている？

クルーズ船の乗客たちは、入港を拒否されて、船内に留まることを余儀なくされているんだよね。

でも、船の乗客からすれば、一刻も早く船を出て、健康な人は仕事をしたり、感染をしている人であれば適切な治療を受けたいと思うんじゃないかな。

そうだね。

乗客は船から自由に出られない状況に置かれているけど、憲法に船から出る自由については書かれているかな？

憲法２２条１項には、「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」と書いてあるね。

船から出ることは「移転」にあてはまると考えることはできるかもしれないね。

そうかな

もう一度、その条文をよく読んでみて。

そう。

六法ちゃん、鋭いね。

憲法に定められた人権の多くは、そもそも無制約で保障されるものではないんだけど、なかでも一部の人権には明確に「公共の福祉に反しない」という限定がかかっているものがあるんだよ。

そのイメージが全く間違っているわけではないけど、「公共の福祉に反しない」というのはもう少し複雑なんだ。

公共の福祉については、また今度、詳しく説明するね。

違憲審査の問題だね。

その話も、近々説明するね。

そうだね。

個人の自由と公共の福祉をどう両立するかという話しはいろいろなところで難しい問題を生む可能性があるよ。

現在の具体的な感染拡大防止策が、人権を制限するだけの合理的な理由があるのか、医学的知見も踏まえて、慎重かつ機を逸することなく判断しないといけないね。