外国人旅行者との交通事故(その1)

車を運転中、外国人旅行者と接触してしまったら?
\ 外国人旅行者との交通事故(その1) /

ピョンチャン冬季オリンピックが閉幕し、いよいよ日本も2年後には東京オリンピックの開幕です。
そして、街中には訪日外国人をたくさん見かけるようになりましたね。
六法ちゃんも、生まれて初めての国内オリンピック開催にドキドキです。

しかし、嬉しいことばかりではありません。

これは日本に限った話ではありませんが、文化や常識、法律等ルールの違った場所から来た訪日外国人とは、しばしば何らかのトラブル事案が増加することも予測されます。

たとえば、日本で生活する日本人が国内で車を運転中、歩いている外国人旅行者と接触してしまった場合、どうなるのでしょうか?

もしその外国人旅行者が、日本人を加害者として不法行為に基づく損害賠償請求をする場合を例に考えてみましょう。

考えるステップとして、まず(1)「どこの国で裁判が行われるのか」、次に(2)「裁判などで適用される法律はどこの国のものか」、という2つの段階で考えていこうと思います。

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(1)国際裁判管轄の問題:どこの国で裁判が行われるか?

まず問題となるのは、どこの国で裁判を行うかという裁判管轄の問題(=法廷地選択の問題)です。

そもそも注意が必要なのは、日本で事故があったから必ず裁判も日本で行われる、とは限らないのです。

仮に、被害者である外国人が、日本の裁判所に訴えを提起した場合には、日本の裁判所は管轄権を有するため、被害者が日本に居住する日本人であるときと同様に、日本国内の裁判所で裁判を行うことができます(日本の民事訴訟法第3条の2第1項、同条第3項及び第3条3第8号)。

一方、被害者が外国の裁判所において訴えを提起した場合、当該外国の裁判所が管轄権を有するか否かは、当該外国の国内法に委ねられ、各国の裁判所が独自に判断します。

このような場合に、外国ではなく日本の裁判所での判断を求めたい場合には、まず、当該外国の裁判所において、当該外国には裁判管轄がないとして争うことが考えられます。

しかし、たとえばフランスでは、原告にフランス国籍があればフランスに管轄が認められており、米国では、継続的実質的な事業活動の地や一時滞在地に管轄を認めているなど、他国から見て妥当でないとも考えられる規定も存在しており、注意が必要な場合もあります。

さらに、同じ事件について日本と外国の裁判所に重複して訴訟提起される問題(国際訴訟競合)もありますが、国際訴訟競合を規律する条約や国内法の規定は日本にはありません。

この場合、裁判所は一般に、訴訟の結果、複数の管轄地においてどのような得失があるのか、法廷内外での証人の存在や証拠の出所、どの法廷で訴訟を行うのが当事者にとってより便利かなど、さまざまな要素を考慮して、その法廷が「適切である」かどうかを決定します。

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日本は島国だからあまり外国人との揉め事は多く想定されていませんでしたが、最近は外国人旅行者が多く、トラブルの相手が日本人でないことも、少なくないのではないかと考えられます。

次のステップでどこの国の法律が適用されるかを説明するっぽー!

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