裁判が私たちの健康に影響を与える??!


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今季もインフルエンザの流行期に入ったことが発表されました。みなさんはインフルエンザの予防接種は受けましたか?

予防接種といえば、裁判の結果によって、みなさんの受ける予防接種に対する国の態度が変わってしまうことがあることを知っていますか?

今回は、予防接種と法律・裁判所の判断が私達の健康に与える影響について考えてみましょう。

[1 予防接種法の変遷と裁判]

昭和23年に予防接種法が施行された当時、感染症による患者や死者が多数にのぼっていたため、社会的損失を防止するために、罰則付きでの接種が義務付けられていました。

これにより感染症の患者や死者は減少したものの、ワクチンが急造されたことにより、ワクチンによる健康被害が社会問題化します。

その後、昭和43年に提訴されたインフルエンザ予防接種による健康被害の損害賠償を求める裁判を皮切りに、多くの予防接種禍訴訟が提起されました。

昭和51年の法改正では、罰則規定を緊急の場合のみに限定する措置が取られ、ワクチンによる健康被害者への救済措置(補償金等の支払い制度)が設けられました。

平成4年の東京高裁判決で、予防接種禍について国家賠償責任を認める判断が示されると、予防接種法の接種義務規定が努力義務規定に変更され、集団接種から個別接種となりました。
制度に変更はあっても、健康被害者への救済制度は今も不十分なままです。

このように、訴訟提起や司法判断が法改正のきっかけとなって、私達の健康に関わる予防接種制度に大きな影響を与えてきたことがわかります。

[2 現在進行中のHPVワクチン訴訟]

平成25年、子宮頸がん予防のためのHPVワクチンが予防接種法の定期接種として追加され、国は接種を勧奨していました(つまり、「どんどん受けてください」とオススメしていました)。

ところが、なんとそのわずか2か月後に、このワクチンによる副作用被害を訴える者の声を受けて、国は接種の勧奨を中止します(つまり、オススメすることをやめました。)。

HPVワクチンに関しては、平成28年に、国と製薬会社を被告とする損害賠償請求の集団訴訟が提起され、現在も審理が続いています。

これに関して医学界からは、科学的根拠に基づいて、子宮頸がん予防のためにはワクチン接種を勧奨すべきであるとの声明も出されています。

予防接種の実施は、私たちの健康と大きな関わりがあるんですね。

とても難しい問題ですが、裁判の行方に注目しましょう!

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