シリーズ『みんなで考えよう!憲法のこと』(1)

シリーズ『みんなで考えよう!憲法のこと』(1)

\   憲法改正手続って            /
 \  どんなふうに進められるの? その1  /

年が明けた1月4日、「安倍晋三首相が自民党として具体的な改憲案を示すことに意欲を示した」との報道がなされました。

憲法を変えるべきか、変えるべきでないかについては様々な考え方がありますが、憲法を改正するための手続とは、どのようなものなのでしょうか?
六法ちゃんが簡単に説明します!

憲法改正は、国民にとって法律よりもはるかに重要なものなので、国会で議論されている普段の法案成立とは違ったプロセスで改正手続きが行われます。

憲法改正手続きは大きく分けると二つの段階があります。
一つが国会によって憲法改正案が国民に示される発議という手続(国会法)と、もう一つが発議された憲法改正案について、国民が賛成反対を示す国民投票という手続です(国民投票法)。

この「国民投票」があるという点が、憲法改正のもっとも大きな特徴ですが、今回は、一つめの発議について説明します。

発議ではまず、
①憲法改正案をつくるための原案(「憲法改正原案」:憲法改正案の下書きのようなものです)が国会議員(衆議院なら100名以上、参議院なら50名以上)によって発案されます(憲法審査会でも発案できます。)。

②この憲法改正原案は、一旦憲法審査会で審議されることになります。この審査は省略できません。
また、憲法審査会の審査は、仮に国会の会期が終了したとしても必要があればそのまま継続されることになります。

③その後、憲法審査会で議決された憲法改正原案は、本会議で審議されることになります。本会議での議決では、総議員の3分の2以上の賛成が得られなければ憲法改正原案は廃案となります(憲法96条1項)。

これは、通常の法律案が出席議員の過半数で可決されること(憲法56条2項、59条1項)と比べて厳しい要件になっています。

こうして、ようやく一つの議院を通過することができた憲法改正原案は、もう一つの議院に送られて、改めて②③の手続きを経て、初めて国民に対して憲法改正案として発議されるのです。
憲法改正手続はとても慎重に設計されていることがわかります。

それは、憲法という国の根本を定める法律を改正する場合には、十分な時間をかけて、できる限り幅広い意見に触れて、単純な過半数の賛成以上の合意を得て、慎重に判断することが必要だと考えられているからです。

憲法が変わるということは、私たちの生活が変わるということと等しいものです。

そして、手続きは国会議員の発議によって始まるものの、憲法を改正するか否かを最終的に直接決める権利があるのは、私たちです。

本当に憲法改正が必要か、改正するとしたらどのような改正がふさわしいのかについて考えておくことが、国民投票への備えになるでしょう!

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